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ダン・シモンズ「エンディミオン」の感想です。

ダン・シモンズ「エンディミオン」☆☆☆

エンディミオン

ハイペリオン」「ハイペリオンの没落」に続く作品です。この作品だけでも充分に面白いとは思うけれども、やはりハイペリオンの最初から読むべきだと思います。

そして「ハイペリオン」「ハイペリオンの没落」「エンディミオン」「エンディミオンの覚醒」のシリーズ全4作を通して読んで、成る程ねぇと改めて感動を覚えるSF大作です。


「エンディミオン」の舞台となるのは、「ハイペリオン」で起きた人類連邦の崩壊から300年あまりが過ぎ、カトリック教会(パクス)がその教義で人々を抑圧して統治を行っている世界。

惑星ハイペリオンで狩猟ガイドをしている青年エンディミオンは、パクスの法廷により処刑されるところを、かつてのハイペリオンの巡礼者で詩人のサイリーナスにより救われる。

サイリーナスから「時間の墓標」から現われる救世主を守ってほしいと頼まれたエンディミオンは、彼の前に現れた謎の少女アイネイアーを守るため行動をともにする。


前半はハイペリオンの時間の墓標を通って過去からやってくる少女アイネイアーと、彼女を捕らえようとするキリスト教会パクスの命を受けたデ・ソヤ神父大佐、そしてアイネイアーを守る役目を受けたハイペリオン生まれの狩猟ガイド・エンディミオンの幾つかの世界を巡る旅と逃走劇が描かれ、これはこれでシンプルな面白さが有ります。

しかし後半部の「エンディミオンの覚醒」で、ついに今まで明かされなかった様々な謎、AIやパクスの陰謀が明かされていきます。

そして最後に迎えるキリストの受難をもじったような展開が中々感動的です。

最近はセンス・オブ・ワンダーを感じさせる作品に出会う事が少なくなりました。

まぁそういうものを感じるには管理人自身が歳をとり感性も衰えて、以前ほど物語を読んで単純に感嘆したり喜びが見出したりすることが出来なくなっているのかも知れません。

しかし、この作品にはセンス・オブ・ワンダーを強く感じます。

当初からここまでの構想を得て書いていたのかどうかは判りませんけど、良く練られた宇宙観に基づく大作SFです。

こういう作品を読むと、ああSFが好きで良かったなぁとしみじみと思います。SFが好きだという人は絶対に読むべき作品だと、管理人は思いますね。