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ダン・シモンズ「オリュンポス」の感想です。

ダン・シモンズ「オリュンポス」☆☆☆

オリュンポス

ギリシア神話を下敷きにしたSF大作「イリアム」の続編になります。

前作「イリアム」では、ホメーロスの「イーリアス」を模したような世界で繰り広げられるトロイア戦争と、木星の衛星に住む半生物機械モラヴェックが火星近辺での量子活動異常を調査すべく向かう話と、100歳までの不死性を獲得したものの退廃してしまった人類が地球で生きていくさまを描いて、それがおのおの別の展開で進んでいました。

この「オリュンポス」では、それらの複数の物語がついに交差していきます。

ギリシア神話とSFを融合させた雄大な世界が展開していく中で、それぞれ関連性が薄かった話が絡み合い、今まで謎に包まれていたものが徐々に明らかになっていきます。

巧みな語り口で複雑な物語を進めていくのは流石にダン・シモンズですね。

正直言ってわけの分からないところも沢山有りますが、こういうヨタ話をそれなりの物語に変換してしまうのがまたSFの魅力です。

この作品ではギリシア神話のみならず、シェークスピアやプルーストなども語られ、こういう娯楽作でも英米文学を理解するのにはそういう知識が有った方が楽しめると言うことを改めて思いました。