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ダン・シモンズ「イリアム」の感想です。

ダン・シモンズ「イリアム」☆☆☆

イリアム

ハイペリオン」の作者がSFと神話を組み合わせて描いた壮大な構想のエンターティメント大作の第一部。

複雑で重厚ですけれども、とても面白い作品です。

イリアムってあまり馴染みがありませんが、要するにトロイアの別名なんだそうです。

管理人は知りませんでした。ホメロスの「イーリアス」って、ここから来ていたのですね。


物語はタイトル通り神々と人間が敵味方に別れて争う「イーリアス」の世界を主な舞台にして展開します。

トロイのパリスと絶世の美女ヘレネ、アキレウスやオデュッセウス、ヘクトルなどの英雄たちが戦い、神々がギリシア側とトロイア側にそれぞれに肩入れするグループに分かれて戦争の後押しをしている世界。

但しこの作品はSF小説ですから、それだけではありません。

21世紀に生きた歴史学者たちが発達したナノテクノロジーで復活させられ、トロイア戦争の成り行きを観察させられています。

更に未来の退廃した地球に住む人々や謎のポスト・ヒューマン、そして木星系で発達した機械生物などが入り乱れて、複雑な物語が進んでいきます。

謎の多い壮大な物語の序章にあたる作品で、続編「オリュンポス」で物語は一応完結しますが、SFや神話が好きな人にはたまらない魅力の作品です。