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ジョン・グリシャム「テスタメント」の感想です。

ジョン・グリシャム「テスタメント」☆☆

テスタメント

アメリカ屈指の大富豪が、問題を起こす遺書を残して自殺した。

遺書の内容は莫大な遺産を自分の6人の子供たちには残さず、存在すら誰も知らなかった隠し子に全てを譲ると言うものだった。

しかし相続人となった女性レイチェルは、宣教師としてブラジルの奥地に一人で赴任していて誰もその所在を知らない。

遺言の執行者となった弁護士スタフォードは、レイチェルを探すため事務所のアル中弁護士ネイト・オライリーをブラジルの奥地パンタナール大湿原に派遣する。

一方で、あてにしていた遺産を貰い損なった子供たちは、顧問弁護士達と画策して訴訟を起こした。

果たして巨額の遺産の行方は・・・・。


グリシャム作品らしい欲にからんだ弁護士同士の戦術・駆け引きも面白いけど、何といってもアル中弁護士オライリーの魂の変遷がこの作品の読みどころになります。

神に全てを捧げ無欲に純真に生きるレイチェルと、同じ父から生まれながら欲望のままに生きてきて、生活も性格も破綻している6人の兄弟達。

かつては6人と同じ様な価値観で生きてきたオライリーは、自己犠牲を貫きながらも幸せに生きているレイチェルに出会い感化され、大きく変化を遂げていきます。

分かり易くユーモラスに、あまり重みを感じないように描かれていますが、現代社会に生きる我々に対して、人間の幸せとは何?と問いかけている作品です。

結末も想像は出来るけど感動的で、なかなか面白い作品でした。