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ジェイン・アン・クレンツ「黄昏に眠る記憶」の感想です。

ジェイン・アン・クレンツ「黄昏に眠る記憶」☆☆☆

黄昏に眠る記憶

インテリア・デザイナーのゾーイには、その場所で過去に起こった事件の負の記憶を感じてしまう不思議な能力があった。

この能力がある故に生じた悲惨な過去から、この力が現れる事がないように注意して暮らしているゾーイだったが、リフォームを依頼されたメイソン邸の寝室で殺人事件の痕跡を感じてしまう。

おそらく殺されたのはメイソン夫人、犯人はその夫メイソン氏。

メイソン氏によれば妻は家を出ていったと言うが、それにしては気になることが多すぎる。だが証拠はない。

警察に告げるわけにもいかず、どうするか迷った末に、ゾーイは私立探偵イーサンの事務所を訪ねて調査を依頼する。

寂れた探偵事務所を経営するイーサンは、以前は大きな調査会社を経営していたが、弟の不審死を契機にこの町に移ってきた優秀な探偵。しかし彼には彼の葛藤があった。

イーサンの調査でメイソン邸の事件はあっけなく解決したものの、今度はゾーイの過去に関係する事件が動き始め、自らの過去から逃避していたゾーイは、イーサンの協力を得て過去に決着をつける事を決めるが・・・。


面白いロマンチック・サスペンスでした。

ゾーイを陥れた人物、患者を薬物付けにして喰い物にする怪しい精神病院、謎めいた人物などがゾロゾロと登場してきます。

微妙な雰囲気から始まるゾーイとイーサンの関係ですが、協力していくうちに二人は惹かれ合っていきます。

過去を隠して孤独に暮らしてきたゾーイの物語は一応決着しますが、何となくスッキリしない点が残ります。

その辺りは続編の「月夜に咲く孤独」で明らかになって行きますので、この2作は続けて読んだほうが楽しめると思います。