面白い本を探す

ジェイン・アン・クレンツ「月夜に咲く孤独」の感想です。

ジェイン・アン・クレンツ「月夜に咲く孤独」☆☆☆

月夜に咲く孤独

黄昏に眠る記憶」の続編になるロマンチック・サスペンスです。

この作品だけでも完結していますけど、出来れば先に「黄昏に眠る記憶」を読んでおいた方が良いです。


必要もないのに患者を薬漬けにして拘束する悪辣な精神病院の手から、霊感を持つ女性ゾーイを救うために始まったゾーイと探偵イーサンの結婚生活。

お互いに惹かれあい求め合っているのに、どうも二人の関係がしっくりとしない。

ゾーイは自分が本当に狂ってしまうのではないかという不安を抱え、イーサンの愛情を信じきれない。

一方イーサンは、しがない探偵業をしている自分への不満に加えて、過去3回の離婚は自分に原因があると思い込んでいて、この幸せな結婚生活もいつか破綻するのではないかと恐れている。

そうした中で、かつてゾーイと一緒に精神病院から脱出したゾーイの親友アルカディアは、何者かに付け狙われているような気配を感じていた。

アルカディアの前夫グラント・ローリングは冷酷な犯罪者で、グラントから逃れるために自分を死んだことにして身分を偽っているアルカディアは、グラントが自分の生存を知ったら必ず命を狙ってくると信じていた。

アルカディアの不安を知ったイーサンは、探偵仲間のハリーに協力を依頼して調査を始めるのだが、ゾーイの周辺でも不可解な出来事が起こり始め・・・。


前作でゾーイの物語は一応完結しましたが、この作品では親友アルカディアを狙う前夫とゾーイにつきまとう暗い影を中心にして物語が進行します。

広い意味ではサイコ・サスペンスなのでしょうけど、暗さや気味の悪さは然程感じません。

クレンツ作品らしい主人公の前向きな姿勢が気持ちが良いロマンス小説です。