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ジェイン・アン・クレンツ「霧に包まれた街」の感想です。

ジェイン・アン・クレンツ「霧に包まれた街」☆☆

霧に包まれた街

超能力者たちの秘密組織の暗躍を描いたロマンチック・サスペンス、アーケイン・ソサエティ・シリーズの第5作目です。

今作ではシリーズで重要な脇役として何度も登場している直感能力を持つ変人ファロン・ジョーンズが、ついに主役として登場します。

そのお相手となるのは、前作「夢を焦がす炎」でチラッと登場したファロンの新しい秘書で秘密の痕跡を霧の形で感じる能力を持つ女性イザベラです。


超能力を持つ家系に生まれたが自分の能力を隠して生きてきたイザベラは、雇われていた調査会社で禁じられた超常兵器の横流しが行われている事に気がつくが、それを知った雇い主に罠をかけられ、危ういところをかろうじて逃げ延びた。

しかし身分を変えて潜伏した店に追手のハンターが現れた事で、何かあった時の最後の最後の避難先として祖母に指示されていた田舎町スカーギル・コーブに向かい、そこで調査会社J&Jを経営するファロンの秘書になる。

イザベラの完璧な経歴に疑問を抱きながらも、陽気で有能なイザベラを手放せずに、それどころか彼女に強く惹かれていくファロン。一方でイザベラも人嫌いでぶっきらぼうでありながら実は情宜に厚いファロンに心惹かれていく。

そうした中で、J&Jの調査員になりたいイザベラが引き受けた古い屋敷の調査で、19世紀末に暗殺用に作られた時計を見つけたことから、スカーギル・コーブに秘められた謎が明かされていき、謎の組織との暗闘が始まる。


誰もが認める変わり者ファロンにもついに恋人が出来たと、ファロンの両親や親戚を始めとしたアーケイン・ソサエティの面々が興味津々でイザベラに接するのが可笑しい感じです。

霧に閉ざされた謎めいた町で、昔起こった事件。こういう内容だと暗い雰囲気を感じても良いはずですが、ジェイン・アン・クレンツ作品らしい独特の明るさを感じるところが管理人は好きです。

ロマンス小説はこうでないとね。

また霧に包まれた町という設定自体がロマンチックな雰囲気を醸し出しています。


「アーケイン・ソサエティ」シリーズ。(コンテンポラリー)
許される嘘
消せない想い
楽園に響くソプラノ
夢を焦がす炎
「霧に包まれた街」(本書)