面白い本を探す

ジル・マリー・ランディス「追いつめられて」の感想です。

ジル・マリー・ランディス「追いつめられて」☆☆☆

追いつめられて

カリフォルニアの鄙びた観光地トワイライト・コーヴを舞台にしたロマンス小説シリーズの第1作目になります。シリーズは「追いつめられて」「悲しみを乗りこえて」「ただもう一度の夢」という順番になりますが、登場人物は共通するものの直接の関連性はありません。ただこのシリーズは出来れば発表順に読んだ方が良いような気がします。


まだ少女の頃に里親の家から逃げ出したカーリーは、大富豪の一人息子リック・ソーンダーズと知り合い、恋に落ち、妊娠する。

カーリーと結婚することを決めたリックは、彼女と結婚することを両親に告げた帰り道、交通事故で死んでしまう。

カーリーとの結婚を認めなかったリックの両親は、リックの葬儀にすらカーリーを招かず、愛する人を亡くして悲嘆にくれるカーリーは一人で息子クリスを産み、好きな絵を掻きながらひっそりと暮らしていた。

ところが、ある日カーリーの元にソーンダーズ家の代理人の弁護士が訪れ、大金と引換にクリスを引き取ることを申し出る。

その申し出を断るカーリーに対して、弁護士はカーリーの過去から彼女は母親として不適格だとして裁判を起こすことを告げ、このままでは最愛の息子クリスを奪われてしまうと考えたカーリーは、身分を偽ってカリフォルニアの突端にあるいなか町トワイライト・コーヴに逃れた。

その6年後、ウェイトレスをしながら画家として少しずつ作品を売り出しているカーリーを、リックの親友で探偵のジェイクが見つけ出す。

ソーンダーズ家の懸命の調査にも関わらず、忽然と姿を消し消息を断ったカーリーとその息子。カーリーの性格も消息を絶った理由も知らないジェイクは、親友リックの幼い息子が母親に虐待されているのではないかと心配し、何としても見つけたいと考えて一人で長い間探索を続けていた。

母子の様子を探ろうとトワイライト・コーヴに滞在するうちにカーリーと知り合ったジェイクは、カーリーの人柄や親子の愛に包まれた生活を知り、明るく知性的で誰にも優しく接する美しいカーリーに強く惹かれてしまい、リック亡き後孤独な日々をおくってきたカーリーも、頼もしいジェイクに恋をしてしまう。

しかしソーンダーズ家の指示でジェイクを尾行した大手探偵社がカーリー母子の行方をつきとめてしまい・・・。


自分を追跡する影に怯えながらも、息子と二人で生きてきたカーリー。亡き息子の忘れ形見を手元に置きたいと願うリックの両親。自分の目的を隠してカーリーに近づいた事を恥じながらもカーリーに惹かれていくリック。そして善良なトワイライト・コーヴの町の人たち。

基本はシンプルなロマンス小説ですが、カーリーとリックだけの物語ではないところに魅力があり良かったです。


「トワイライト・コーヴ」シリーズ。
「追いつめられて」(本書)
悲しみを乗りこえて
ただもう一度の夢