表題作「地下街の雨」や「勝ち逃げ」のような大した事件は起こらないけど印象深い作品から、ホラー風味が味わえる「決して見えない」「混線」まで、バラエティに富んだ短編集です。

宮部みゆきという人は本当に達者な作家さんで、まず外れる事がありません。

彼女の作品は厳しいテーマで書かれていても、登場人物に対する視線にどこかやさしいを感じます。

社会的な問題であっても、大上段に構えて「どうだ！」って感じでないところが管理人は好きです。

作品を読んで暗い気分になって落ち込むというような事が殆どありません。

もちろん考えさせられることは多いのですけど・・・。

この短編集も、たとえ微妙に暗いテーマでも落ち込むような事はなく、しかし読んだ後に何も残らない面白いだけの小説でもない。

都会的というよりも下町風なセンスがあって好きです。