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宮部みゆき「ブレイブ・ストーリー」の感想です。

宮部みゆき「ブレイブ・ストーリー」☆☆☆

ブレイブ・ストーリー

両親の離婚にまつわるゴタゴタに巻き込まれた小学5年生の少年三谷亘が、悲惨な現実を変える為に幻想の世界に入り込み、数々の冒険をしながら大人へと成長していく姿を描いたファンタジィ小説です。

亘が入り込む幻想世界は、RPGの中の世界のようでありながら、少年自身が持つ現実認識や想像力に支えられた世界です。

飛び抜けた能力を持っているわけでもないごく普通の少年亘が、その世界の中で色々な出会いや事件に対処することで、生きる力や本質を見極める力を徐々に得ていく辺りがよく描かれていて面白かった。

「いさましい話」という事ですけど、本当の「いさましさ」とはどういうものかを、宮部みゆき風に示した作品といったところです。

一つ間違えるとお説教ぽくなってしまうようなテーマを上手くまとめあげて良質のエンターティメントに仕上げていくところなど、やはり宮部みゆきは達者な作家だと思います。