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ロバート・ゴダード「最期の喝采」の感想です。

ロバート・ゴダード「最期の喝采」☆☆

最期の喝采

落ち目の舞台俳優のトビー・フラッドは、地方公演の巡業先ブライトンで離婚訴訟中の妻ジェニーから助けを求められた。

彼女がブライトンで経営する帽子店を見張っている怪しい男がどうやらトビーに関係しているらしい。

まだジェニーに未練を残すトビーは、ジェニーの身辺に出没するこの男が、ジェニーと一緒に暮らしている大金持ちの男との間にトラブルを抱えている事を知って、芝居どころではなくなり調査を開始する。

しかし調査を進めるうちに、本人の思惑とは関係なくトビーは抜き差しならぬトラブルに巻き込まれていく。


ゴダードお得意の歴史ミステリーではありませんが、常にどこか過去の謎を引きずる作家ゴダードらしい情感を感じさせるミステリィです。

主人公は欠点が多いもののどこか人の良さを感じさせる男で、ゴダードらしい狂言回しのような役割の人物。女性陣はみんな毅然とした雰囲気を漂わせていますが、ダメダメな主人公をついつい応援したくなるのもゴダード作品です。

いつものゴダード作品はしみじみとしている分多少暗い感じがしますが、この作品はあまり暗さを意識せず、そういう点が管理人には好ましくて楽しめるミステリィでした。