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ロバート・ゴダード「鉄の絆」の感想です。

ロバート・ゴダード「鉄の絆」☆☆☆

鉄の絆

英国の詩人トリストラム・アプリーは、スペイン内戦で共和派の義勇兵として戦い散っていった。

トリストラムの死後50年が過ぎた今になって、彼の姉ベアトリックスが何者かによって殺害される。

しかし自分が殺されることを予期していたベアトリックスは、トリストラムに関わる手紙が知人の元に届くように手配していた。


高名な英国の詩人の姉が殺される場面から始まる情緒あふれるサスペンス・ミステリィです。

スペイン内戦の時代、過去に生きた人々の秘密が徐々に明かされていく展開はいかにもゴダードらしいですけど、この作品にはゴダートらしい重厚さよりやや軽い雰囲気があって、そこがかえって管理人には好ましく思えました。

謎解きミステリィとは少々違う展開をしますし、中盤以降は前半とは雰囲気の違う冒険小説風な作品になっていきます。

この辺りは管理人が思うゴダート作品ではありませんが、ほぼ予定調和的な結末が気楽で良かったです。

千尋の闇」のような感動は有りませんが、これはこれでとても楽しく読める作品です。