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石塚真一「BLUE GIANT」の感想です。

石塚真一「BLUE GIANT」☆☆☆

BLUE GIANT

仙台の高校生・宮本大はバスケ部に所属する真っ直ぐで気持ちの良い青年。身長があるわけでもなく、高い技術を持っているわけでもないけど、周りに気を配れる性格でチーム内での信頼も厚い。

大がまだ幼かった頃に母は亡くなり、地元スーパーの店長をしている父親、高校を卒業して地元企業に就職したよく出来た兄、そしてまだ小学生で天真爛漫な妹がいる。

そんな大が高校三年間夢中になっていたのは、中学の時に友人と一緒に行ったライブハウスで聴いたジャズのテナーサックスだった。

ジャズとテナーサックスに魅せられ、自己流でサックスを吹き始め、高校の地味な音楽教師の助けを借りて、一人河原で毎日毎日サックスを吹く大。

独学でサックスを吹きながら将来は世界一のジャズプレイヤーになる。ごく普通にそんな事を言う大を見て、応援する人たちが現れ、人と人との繋がりから様々な形で支援を受けて、大の才能は大きく花開いていく。


良いですねぇ・・・。ジャズに打ち込む青年の気持ち、ブレない姿勢と自信、他者を応援する心、熱い思い、出会いと別れ、読んでいて思わずこちらも熱くなる。そういう感じの青春音楽マンガです。

同じような音楽マンガでもロックやクラシックに打ち込む若者を主題にした作品は多いと思いますけど、大が夢中になるのがジャズというのがまた良いですね。

何だか管理人も若かりし頃にジャズ喫茶に行った頃を思い出しました。管理人は別段ジャズに詳しくはないし、どちらかと言えばスウィング・ジャズの方が好きなのですけど、こういう作品を読むとモダン・ジャズも聴きたくなるなぁ。

登場人物がいい人揃いなのも安心して読めるし、誰もが大の音楽や演奏に感動して、何かしらを得るようなところが好きです。

特に管理人は大の兄貴が好きですね。優しくて責任感があって大きな人間だなぁ・・・。

昔はこういう兄弟ってけっこう居たのかもしれないけど、家族のことを思ってごく自然に行動できる立派な青年に、理想の兄貴像を見て感動してしまいます。

高校を卒業して上京した大が、自力でこれからどう道を切り開いていくのか。

読んでいて妙にハマってしまった音楽マンガ・コミックで、どう展開していくか楽しみにしていましたが、感動の10巻で一区切りがついてしまいました。続編の「BLUE GIANT SUPREME」も実に楽しみな作品です。